大学学部時代の先輩が北京に遊びに来たので一緒に頤和園見物に行った。
久しぶりの頤和園は昔と変わらず美しかったが、団体客がぞろぞろいて、平日だというのにたいそうな人ごみであった。
頤和園記は別項で書くとして、今日特筆すべきは夕食での出来事。
国慶節旅行中、遵化でおいしい老鴨湯を食べてすっかり老鴨湯ファンになってしまった。
北京大東門付近に老鴨湯の看板を出している店があるので、そこに行ってみようということになり、4人で北京大から黒タクに乗った。
この黒タク、北京大の留学生の間ではマリオカートと呼ばれている名物黒タクらしい。
マリオのような運転手と今にも分解しそうなボロイ車(マリオ曰く、18年乗っている)だが、
腕は確かなようで、細い道を減速せずにスイスイ進んでいった。
食事前にスリリングな体験をした。
店に着いて老鴨湯を注文。
鴨のダシの濃厚なスープで鍋。美味である。
主食は麺を頼んだのだが、出てきたのは練った小麦粉の塊。
すいとんにでもするのかと思ったが、入れる前に服務員がその場でびろーんと手で伸ばしてきし麺のようにしてくれた。
鴨のスープで煮込んだ手伸ばし麺はおいしかった。
ところで、食事中私はついうっかり鍋に接触していて熱くなっていた皿に触れてしまった。
かなり熱かった。
火傷の対処法はまず冷やすこと。
トイレに行って水道で冷やそうとしたが、水がチョロチョロとしか出ない。
服務員に火傷をしたので氷はないかと尋ねたところ、冷凍庫からこそげ落としたと思われる氷を袋に入れて持ってきてくれた。おかげで冷やすことができた。
氷が融けた頃にもっと氷はないかと聞くと、もうないと言うが、その服務員、
「火傷をした時はこれを塗るのよ」と、小鉢に黒酢を入れて持ってきた。
酢を塗るのか?といぶかしんでいると彼女は自ら私の患部に塗ってくれた。
中国では火傷をしたときには酢を塗るのだろうか?
中国医学?民間療法?
酢を塗っても別に冷えてくる感じはしない。
薬効でもあるのだろうか?
翌日、患部は水ぶくれをおこしていたが、数日すれば引くだろう。
酢が効いたかどうかは謎である。