12月9日、夜行列車で南京へ向かう。
今回は豪華に軟臥だ。硬臥より100元以上も高いだけあってすごいぞ。ベッドにテレビまでついている。でも流しているのはつまらなそうな映画ばっかり。上段は天井がガタガタうるさいし、硬臥と寝心地は大して変わらない。
10日、南京に到着。雨が降っている。北京よりは暖かいが、でもやっぱり寒い。北方と違いスチームがないので、建物の中が寒い。档案館へ向かうが、建物の中で足元から冷えてくる。
夕方、南京で日本語教師をしている方の紹介で留学生寮をとっていただく。ネット完備、24時間シャワー可能、無料洗濯機あり、ベッドマットも柔らかい。うちの寮よりいいかも。
住む場所が決まって一安心。
こうして南京での2週間にわたる生活が始まった。
基本的に平日は朝6時に起き、8時開館の档案館に行き、4時半まで調べ物。
休日は観光。
私達が南京へやって来た最初の週は寒波が来ていて特に寒かった。上は毛糸を2枚重ね着し、下はタイツと靴下を重ね履きしてなんとかしのいでいたが、それでも寒さに震えた。
天気は雨か曇りが多く、晴れた日も霧で霞み遠くが見えない。
南京ではよく霧が発生したが、これは大気汚染によるもののようだ。
ある朝、とんでもない濃霧が発生し一面真っ白になり、何も見えなくなった。
ほんの10メートル先の建物も見えないほどだ。
真っ白な街はどことなく不気味だった。
南京在住の日本人は、この時期はよく霧が発生するのでどうということはないと言っていたが。
この霧は汚染物質でできているのだろうか?
一説によると黄砂のようなものが飛び散ってできているというのだが、いずれにせよ人体にはよくなさそうだ。
メンバーのうち2人は南京の空気の悪さで頭痛、吐き気を催し、私は喉をやられてずっと辛かった。
空気に関してはオリンピック前で頑張っている北京の方がましなような気がする。
私はちょうど風邪が喉にきて苦しかったところに、南京の冷たくて汚い空気を吸い込み、ずっとゴホゴホ咳き込み、痰がからむという症状に見舞われた。
風邪なんて何年もひいていなかったのだが、油断した。
風邪をひいた原因はよくわかっている。
足を冷やしてしまったからだ。
16日に1人で瞻園を散策していて、庭園の奥の方の中国式の穴がボコボコあいた石を組み合わせた山まで来た。
山の中には小道が作られていて通り抜けられそうだった。
そこを通って地面に戻ろうと両足着地で飛び移ったところ、
そこにはとんでもない罠が仕掛けられていのだった。
突然、両足がズボッとくるぶし辺りまで沈んだ。
予想外の事態に、一瞬何がどうなったのかわけがわからなくなった。
なんとそこはセメントを流し込んで固める作業中だったのだ。
何の警告もなかった。
観光客が普通に行きそうなところなのに、「この先進入禁止」とも「注意」「警告」一切なかった。
なんて不親切なのだろう。まあそこが中国らしい。
もがきながら脱出したが、両足はセメントでドロドロ。
近くの店に入り靴を水洗いしたが、おかげでその日は半日ずっと濡れた靴で過ごすことになってしまった。
そして見事に風邪をひいた。
中国ではあちこちに罠が仕掛けられている。
まったく無警告にそれは待ち構えている。
塗りたてのペンキ、蓋のないマンホール。
この国では「警告」などというやさしさを期待してはいけない。
罠にはまったら、それははまった人間が馬鹿だということになる。